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自閉症の神経学的考察

明細情報
講師:星野恭子先生

2003年3月9日 東京代々木オリンピック記念青少年活動センター
つみきの会(自閉症児のための行動療法を広げる会)主催講演会より

〜 星野恭子先生 プロフィール 〜

 東京の瀬川小児神経学クリニックの小児科医師。
 
星野恭子先生 は、早起きをして規則正しい生活をすることは、神経学的に子どもの発達段階において非常に重要であることを強調している。クリニックでは、睡眠障害を起しやすい 子ども達に、規則正しい生活を習慣化させ、自閉症やダウン症の改善に成果を出している。
 

Q 自閉症とはどんなことですか?

 自閉症には、次のような特徴が見られます。

・生後4ヶ月ぐらいから発現する
・睡眠覚醒リズム障害が起きる
 (昼寝の時間が多く、夜眠れない寝る時間帯がずれていく、ぐっすり眠れず途中で目が覚めてしまう)
・男の子、男性に多い
・年齢に従い特有の症状が出る
・遺伝が考えられる
・各症状の軽い重いは、必ずしも一致しない
・環境ホルモンが影響していると考えられる

zQ 具体的に現れる症状(自閉症の臨床症状 ) 例の紹介     

自閉症の症状は、次のように発達とともに変化していきます。      

乳児期早期には、次のような症状がよく見られる
  ・昼、おとなしい
  ・からだが柔らかい等

乳児期後期の特徴
  ・はいはいしない
  ・後追いしない
  ・人見知りしない
 ・動きが少ない、いつもゴロゴロしているように見える等

1歳児の特徴 
  ・視線があわない
  ・言葉の発達に問題がある
  ・人とのかかわりがない
  ・人の真似をしない
  ・偏食が多い
  ・記憶に問題がある等

3歳     階段を交互におりられない等
5歳     斜め線を書けない等

自閉症 と関係の深い3つの脳内神経伝達物質            

 子どもが成長していく上で、手足の交互運動(ハイハイや歩行)や、姿勢の維持は、とても大切なことです。この機能に大きくかかわっているのが、中枢神経系の働きをコントロールする神経伝達物質 のセロトニン、ノンアドレナリン、ドーパミンンです。そして、この3つの物質と自閉症との間には、深い関係があると考えられてい ます。

・セロトニン
 ラットを使った実験では、セロトニンを破壊すると、早期社会隔離、つまり、新しい環境に適応できない、社会性が欠如するなど の症状が現れる。これは、自閉症の症状と似ている。

・ノルアドレナリン
 ノルアドレナリンの破壊は、脳の拡大を停滞させる。脊髄の中で消去効果が消失すると、こだわりが強くなる。

・ドーパミン
 多動やパニック、甘え、独り言や、右利きか左利きかはっきりしない 、「おかえり」と「ただいま」を逆に言ったり、「もらう」と「あげる」を反対にとらえたり、「バイバイ」の手が、手の平を自分のほうに向ける などの認証の逆転は、ドーパミンの不足と関係していると言われている。
  ドーパミンの異常は遺伝によるもので、環境とは関係がない。子どもにごほうびや報酬を与えると、分泌が活発になる。

・参考までに、セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンが破壊されたラットは、殺し合いをするようになる。

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脳内には、多くの神経伝達物質やホルモンなどがあるが、その中で特に 、セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンは、心と関係し、人とのかかわりにも重要な働きをする。

・セロトニンは、体温調節、血管や筋肉の調節、攻撃性の調節、運動、食欲、睡眠、不安などに関わる。
 セロトニンが少ないと、興奮や衝動・抑うつ感をおさえることが難しいとされる。

・ノルアドレナリン 人間を覚醒し活発にさせる覚醒系の神経伝達物質。怒ったときに特に多く分泌される。
 ノルアドレナリンが少ないと、小さな刺激に対しても過敏に攻撃したり、逃避反応をするようになる。

・ドーパミンは、攻撃性、創造性、運動機能などを調節する働きがある。
 ドーバミンが過剰に消費されると、
幻覚や幻聴、妄想などが生じ 、分泌が少ないと、うつの状態になる。

自閉症を脳の神経や筋肉からみた場合(神経学的所見 )  

自閉症を神経学的に見た場合、次のような症状が見られます。

・はいはいの姿勢が一般の子どもと異なる
     足首を立てた状態ではいはいする
     後ずさりしてはいはいする等
・つま先で立って歩く
・足踏みが上手に出来ない
・手でキラキラ星の動作ができない等

自閉症の改善は、早起きから始まる                     

 早起きをすることで、自閉症に大きな改善がよくみられます。また、規則正しい生活をすることを習慣化させることは、健康なからだづくりにもつながります。これは次の理由によります。

▼ 3つの分泌物は、脳の中にある神経細胞の働きによって分泌される。神経細胞は、人の生涯の中で生後1〜2年の間に最もたくさん作られる。この時期に規則正しい生活をすることは、神経細胞を健全に発達させ、3つの分泌物を適切に分泌させることにつながる。

▼ 自閉症は、セトロニン、ノルアドレナリン、ドーパミンの分泌異常と関係がある。この3つの分泌物は、睡眠中に分泌される。
 眠りが深いノンのときには、セロトニンが分泌され、眠りが浅いノンレムのときに、ノルアドレナリンとドーパミンが分泌される。昼起きて、夜眠るという規則正しい生活リズムをしなければ、セロトニンや、ノルアドレナリン、ドーパミンの分泌が正常に行われなくなる。

クリニックでの指導

瀬川小児 神経学クリニックでは、自閉症の子どもに次のような指導を行い、効果をあげています。

・ がんばって早起きの習慣をつける。このため、夜よく眠れるように、昼間よく歩く
・子どもを無視しない
・メロディや歌を聴かせる
・△を見せたり書かせたりする(斜め線を書く練習)
・右耳から声や音を聴かせる
・薬物療法を試みる

5歳以下で初診にきた場合、がんばって1〜2ヶ月指導を守ると、いろいろな効果が出てくることがわかっている。
例:
・夜眠れるようになった
・自転車のペダルがこげるようになった
・こだわりが改善された
・ その他

 

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・右耳  人間の脳は、左半球が言語的処理に優れ、右半球は音楽などイメージ的な情報処理に優れている。そして左半球は右半身を、右半球は左半身の運動と関係する。このため、通常は左半球が優位で、右利きが多い。自閉症児は、両利きが多く、言語処理を行う左半球が使われていないとも考えられる。

・三角  自閉症児は、角を認識することが難しく、三角や四角でも丸に近い形になってしまう。

クリニックで使っている薬                           

  クリニックでは、個々の症状によって次のような薬を使うこともあります。

 ・ ドーパミンを少量
 ・ SSRI   
 ・ 抗てんかん剤

よく眠れるようになってから投与する薬
 ・ メラトニン
 ・ ビタミンB12

 ?  15歳過ぎて、どうしても使用しなければならないときに、やむおえず投与することもある。

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・SSRI  セロトニン
の神経間の伝達を調整する薬

・抗てんかん剤  自閉症に合併するてんかんの発作を抑制する。

・メラトニン 睡眠のリズムを調節していると考えられており、催眠作用があると言われている。

・ビタミンB12  レシチンやメチオニンの合成に働き、神経組織の正常な機能に必要。

自閉症の原因はいまだ不明                            

 自閉症の原因は、よくわかっていません。一般に次のような原因が挙げられていますが、いずれも確証は今のところありません。

・素因のある家系?
・特異なアミノ酸、有機酸異常の影響とも言われているが、特定されない
・アレルギー体質?
・水銀によるもの? 
・カゾモルフィン? 
・抗生剤?
・亜鉛の欠乏?

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・特異なアミノ酸 人間の体内で作ることができないはずのアミノ酸が、自閉症児の尿から検出されている。

・有機酸異常  「自閉症またはPDDを持つ子供の尿すべてから、酵母菌や他の消化器系バクテリアの異常なレベルにより、1つ以上の異常な有機酸合成物が発見されている。これらの合成物は、とりわけ神経系機能、ビタミン活用、エネルギーレベル、腸の内壁保全、ホルモン活用および筋肉機能に影響を与える。」注)1

・水銀  人体に有害な物質の中でも最も神経毒性が強い重金属は水銀。食べ物などから体内に取り込まれるが、健常な人の場合、尿と一緒に体外に排出される。自閉症の場合、 なんらかの原因で、体内からの水銀排出が困難とされている。

・カゾモルフィン  牛乳が体内で分解されたときに生成されるペチプドの一種。幼児期の成長や生理機能に深く関与する。 鎮静作用や睡眠の促進、インスリンの上昇抑制作用、栄養の吸収促進などの作用を有する

・抗生剤   抗生剤の使用は、体内の腸の壁を破る原因になるという説がある。その結果、腸の壁からにじみでた細菌や毒素、食物は血液の中に混じり、有用なバクテリア を破壊し、カンジタや真菌類を異常繁殖 させる。そして、ミネラレを運ぶたんぱく質が壊され、マグネシウムや亜鉛の不足につながる。

鉛 自閉症児の多くに、亜鉛が不足しているというデータがある。

血液などの検査について                          

 自閉症の原因を知るため、血液や、尿、便の中の成分を分析する方法があります。

 アメリカのグレートプレインズ研究社は、日本から血液や尿、便を送ると、検査し結果を報告してくれる。しかし、血液や尿、便では、測定が不可能とも言われている。

勧められる療法                                

・行動療法
・食事療法
・TEACCH(ティーチ)
・その他

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・行動療法  行動(学習)理論に基づいて、問題行動を良い方向に変えること。

・食事療法  例) カゼインやグルテンを除去する。

・TEACCH  Treatment and Education of Autistic and Related Communication Handicapped CHildren 自閉症および関連するコミュニケーション障害の子どものための治療と教育

安全といわれている療法                         

安全とされている療法に、以下のものがあります。

・ビタミンB6
・ビタミンの大量投与
・カゼインとグルテンの除去

 

 

・ビタミンB6 脳の神経細胞の興奮を抑える神経伝達物質の合成を促す作用がある。大量投与で、言語、その他に改善がみられたとの報告がある、B6が効果的に働くためには、マグネシウムと亜鉛が必要。

・カゼイン 乳製品に入ってるたんぱく質。腸内の粘膜を破って体内に洩れると、モルヒネの様な毒性の物質に変化し、脳の発達に障害を起す 言われる。

・グルテン 小麦に入っているたんぱく質。腸内の粘膜を破って体内に洩れると、モルヒネの様な毒性の物質に変化し、脳の発達に障害を起すといわれる。

注意すべき民間療法                              

  自閉症の改善のため、医学的に効果がはっきり証明されていなかったり、副作用の危険が懸念される薬が使用されていることがあります。また、自閉症に効果があると 宣伝している野菜や栄養補助剤が出回っています。以下の使用については、十分に注意をすることをすすめます。

セクレチン   
漢方薬

抗コリンエステレース薬

キレート療法  DMSAは絶対に止めてほしい 
ファンギーゾン
カルノシン 
中国パセリ
ベータグルカン 
コロストラム  

将来に向けて                                      
 子どもが成人になったときに、どうなって欲しいかを考えることは大切です。

自閉症の子どもを育てる上で気を付けるべきこと                  
 情報が多い現在の状況の中で、次のことに気をつけたほうが良いと思います。

・情報が多くが、振り回されないようにする。
・周りの人たちとうまくいっているかは、とても大切なこと。

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・セクレチン Secretin  十二指腸で作られる消化管ホルモン。自閉症の改善に使われるが、致死的な副作用があるといわれている。 

・キレート(Chelation)療法は、体内から有害重金属を取り除く方法の一種

・DMSA  dimercaptosuccinic acid ジメルカプトール琥珀酸のことで、キレート剤の1種。経口投与し、強力に水銀を尿中に排泄させる作用がある。

・カルノシン  強力な抗酸化剤として、体から毒素を取り除いたり、免疫力をつけて傷の治りを早めると言われている。

・中国パセリ 体内の有害重金属を排出されていると言われている。

・ベータグルカン 免疫を向上させると言われている

・コロストラム  牛乳から作られ、栄養補助剤して販売されている

注1)グレートプレーンズ研究所;自閉症/広汎性発達障害(PDD)1http://www.greatplainslaboratory.com/japanese/


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